先月横浜市戸塚区にある卸売業の顧問先から決算申告の打合せ時に

「弁護士を入れて破産をする売掛先があるんだけど、全額今期の経費でいいですよね?」とのご質問を頂きました。弁護士から来ている書類を確認させて頂くとその取引先は破産の申立てを行っている状態でした。この場合、その取引先に対する売掛金を全額損金の額に算入するのは難しいのです。下記の貸倒損失として処理できる場合に当てはまれば損金処理できますが、このケースはⅡの個別引当金による損金処理が適切でしょう。

以下、全額損金にできるケース、できないケースを確認しましょう。

 

 

Ⅰ.貸倒損失として処理できる場合

 

1 金銭債権が切り捨てられた場合

次に掲げるような事実に基づいて切り捨てられた金額は、その事実が生じた事業年度の損金の額に算入されます。

① 会社更生法、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律、会社法、民事再生法の規定により切り捨てられた金額

② 法令の規定による整理手続によらない債権者集会の協議決定及び行政機関や金融機関などのあっせんによる協議で、合理的な基準によっ て切り捨てられた金額

③ 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることが出来ない場合に、その債務者に対して、書面で明らかにした債務免除額

*この規定により貸倒損失として全額を損金算入するには完全に債権が切り捨てられている必要があります。

 

2 金銭債権の全額が回収不能となった場合

債務者の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかになった場合は、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理することができます。

 

 

3 一定期間取引停止後弁済がない場合等

次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対する売掛債権(貸付金などは含みません。)について、その売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をすることが出来ます。

① 継続的な取引を行っていた債務者の資産状況、支払能力等が悪化したため、その債務者との取引を停止した場合において、その取引停止の時と最後の弁済の時などのうち最も遅いときから1年以上経過した時

➁ 同一地域の債務者に対する売掛債権の総額が取立費用より少なく、支払を督促しても弁済がない場合

*実務では上記赤字による貸倒損失計上はやることが多い気がします。備忘記録を残し残額を貸倒損失として損金の額に算入します。

 

 

Ⅱ.個別貸倒引当金の設定

 

1 貸倒引当金設定の対象となる金銭債権の範囲

  1. 売掛金、貸付金など
  2. <貸倒引当金繰入限度額>

個別評価する金銭債権の種類ごとに繰入限度額が定められている。

 

個別評価金銭債権 繰入限度額
会社更生法等の規定による更正計画認可決定等の自由で弁済の猶予又は賦払による弁済とされた債権 その事由が生じた事業年度後5年以内に弁済される金額以内
債務者について債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しがない場合 取立ての見込みがないと認められる金額
会社更生法等の規定による更生手続開始等の申立て、破産の申立てがなされた者に対する債権 50%
長期にわたる債務の履行遅滞により経済的価値の著しい減少又は弁済を受けることが著しく困難と認められる外国の政府、中央銀行等に対する債権 50%

 

(例)破産の申立てをした取引先に対する売掛金が500,000円あった場合、500,000円×50%=250,000円を個別貸倒引当金として損金の額に算入することができます。

 

 

Ⅲ.一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定

 

1 実績繰入率に基づく計算(原則)

貸倒引当金の設定対象事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額に、過去3年間の貸倒損失発生額に基づく実績繰入率を乗じて計算します。

 

繰入限度額=期末一括評価金銭債権の帳簿価額×貸倒実績率(注)

 

 

2 法定繰入率に基づく計算(中小法人又は公益法人等若しくは協同組合等向けの特例)

事業年度末における資本金が1億円以下の普通法人等については、繰入限度額の計算に当たり、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の上記1の実績繰入率に基づく計算に代えて、下期の繰入限度額の計算によることが認められています。

 

 

繰入限度額=〔期末一括評価金銭債権の帳簿価額―実質的に債権とみられない金額〕

×法定繰入率(注)

 

 

 

(注) 法定繰入率は下表のとおりです。

卸売業及び小売業 製造業 金属業及び保険業 割賦販売小売りなど その他
10/1000 8/1000 3/1000 13/1000 6/1000

 

(例)破産の申立等の事実は生じていないが、期末に売掛金、受取手形、貸付金の合計が15,000,000円ある卸売業の場合

15,000,000円×10/1000=150,000円を貸倒引当金として損金の額に算入することができます。

 

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