会社役員・サラリーマンの年末税制優遇まとめ
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「会社設立、創業融資税理士」横浜市神奈川区のウィズグロース会計事務所です。
会社役員・サラリーマンの年末税制優遇まとめ
12月は、
- 年末調整の結果が出る
- ボーナスや冬の出費が重なる
- ふるさと納税の締切が近づく
など、「税金」と向き合う場面が増える時期です。
「税金対策=社長や個人事業主の話」というイメージがありますが、会社役員・サラリーマンでも使える制度上の優遇措置は少なくありません。
この記事では、
- 会社役員・サラリーマンでも使える主な制度
- 会社役員・個人事業主だけが利用できる制度
を年末に確認しておきたいポイントとして整理します。
【この記事で分かること】
・会社役員・サラリーマンでも活用できる代表的な控除・非課税制度
・「今年中にまだ対応できるもの」と「来年に向けて準備しておくもの」の区別
※本記事は執筆時点の法令・公的情報をもとに概要をまとめたものです。
最新の内容は国税庁・金融庁・中小機構など公的機関の情報をご確認ください。
※ここで取り上げているのは、利用場面が比較的多い代表的な制度です。
このほかにも税制上の優遇措置は存在します。
- 年末調整・確定申告で押さえたい基本の控除
1-1 ふるさと納税(寄附金控除)
―― 12/31までに寄附すれば今年分
【今年中に検討する項目】
仕組み
- 自治体に寄附をする
- 「寄附額 − 2,000円」が、所得税・住民税の軽減対象となる
- 多くの場合、返礼品を受け取れる
ポイント
- その年分として扱われるのは、「その年の12月31日までに支払った寄附」
- 年末調整では精算されないため、
- ワンストップ特例を利用する
- または自分で確定申告を行う
のいずれかが必要
- 控除上限は、年収・家族構成・住宅ローン控除の有無などで変動するため、
事前にシミュレーションで概算を把握しておくと、控除上限を超えるリスクを抑えられます。
1-2 医療費控除:1年分を合計して使えるか判断
【今年分の状況を整理する項目】
概要
1年間(1〜12月)の自己負担医療費が一定額を超えた場合に利用できる制度です。
- 対象:自分+生計を一にする家族分を合算可能
- 控除額:
「医療費合計 − 保険金等で補てんされた額 − 10万円」
※所得200万円未満の場合は「所得の5%」 - 控除額の上限:200万円
実務上のポイント
- 年末調整では対応できないため、該当する年は確定申告が必要
- 12月中に
- 医療費のレシート・領収書を家族分まとめる
- 概算で10万円を超えそうか確認する
と、年明けの申告準備の手順を整理しやすくなります。
1-3 生命保険料控除:証明書が届いたタイミングで整理
【今年分を確認し、来年以降の見直しにつなげる項目】
3つの区分
- 一般の生命保険料控除
- 介護医療保険料控除
- 個人年金保険料控除
それぞれに上限があり、所得税で合計12万円・住民税で合計7万円が限度です。
ポイント
- 年末調整では、保険会社から届く「控除証明書」を会社へ提出することで自動的に反映
- あわせて、
- どの保険にいくら支払っているか
- 控除限度額を大きく超えている契約がないか
を一覧で把握しておくと、来年以降の保険見直しの材料になります。
- 家計全体で見る“家族単位”の税負担の調整
2-1 扶養控除・配偶者控除の見直し
【今年の所得見込みを踏まえて確認する項目】
扶養親族がいる場合の「扶養控除」、配偶者の所得が一定以下のときの「配偶者控除・配偶者特別控除」は、どちらの所得から控除を引くかによって税額が変わります。
例
- 夫:年収800万円
- 妻:年収300万円
- 大学生の子ども1人
このような場合、税率の高い側(ここでは夫)で扶養控除を適用した方が、税負担が軽くなるケースがあります。
会社役員ならではの注意点
- 役員報酬の増減
- 役員賞与や退職金の支給タイミング
などにより、その年だけ所得が大きく動くことがあります。
年収の見通しが立つ12月頃に、扶養・配偶者控除のつけ方を確認しておくと、翌年以降のずれを防ぎやすくなります。
2-2 国民年金の「前納」
―― 独立予定・第1号になる時の検討材料
【今後の働き方の変更を見据えて検討する項目】
通常、会社役員・サラリーマンは厚生年金に加入(第2号被保険者)しており、国民年金の前納は直接関係しません。
ただし、次のようなケースでは関わってきます。
- 転職の合間に第1号被保険者になる期間が生じる
- 自営業の配偶者が第1号で、世帯として国民年金保険料を負担している
- 近い将来、独立して個人事業主になる予定がある
前納制度の概要
- 半年・1年・2年分をまとめて払うと保険料が割引
- 支払った保険料は社会保険料控除として、その年の所得から全額控除
働き方の変更が見えている場合は、年金や社会保険の負担も含めて早めに整理しておくと、税負担とキャッシュフローの両面で見通しを立てやすくなります。
- 資産形成とセットで考える税制優遇
―― 新NISA・iDeCo・小規模企業共済
3-1 新NISA:投資利益・配当が非課税になる枠
【来年以降の運用方針を決める項目】
主な枠
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠 :年間240万円
→ 合計360万円/年まで投資可能 - 生涯非課税保有限度額:1,800万円
(うち成長投資枠は1,200万円まで) - 非課税期間:無期限
売却してもその年の年間投資枠は増えませんが、生涯投資枠(1,800万円)の空きができるため、
将来あらためて非課税で投資する余地が生まれます。
ポイント
- 特定口座と異なり、運用益に対して約20%の税金がかからない
- 12月時点で
- 今年どこまで枠を使ったか
- 来年どの程度の金額を「毎月」「ボーナス月」に充てるか
を決めておくと、翌年以降の運用計画を立てやすくなります。
3-2 iDeCo:掛金全額が所得控除になる私的年金
【今年は準備、来年以降の拠出開始を想定しやすい項目】
特徴
- 掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除
- 運用益は非課税で再投資
- 受け取り時は、公的年金等控除または退職所得控除の対象になりうる
- 原則60歳まで引き出し不可
税負担軽減のイメージ
- 毎月2万円(年24万円)積立
- 所得税10%・住民税10%の場合
→ 年間で約4.8万円分の税負担軽減(24万円×20%)という計算になります。
※あくまでモデルケースの概算です。
年末の確認ポイント
- その年分として扱われるのは、「その年中に拠出された掛金」
- 未加入の方は、口座開設や掛金設定に一定の期間を要するため、
年内は検討・準備、実際の拠出は翌年スタートとなるケースが多くなります。 - 既に加入している場合は、来年の掛金額や企業型年金とのバランスを見直すタイミングになります。
なお、企業型DCや確定給付企業年金に加入している役員の方は、
iDeCoの掛金上限や併用可否が、就業規則・企業年金規約で定められている場合があります。
実際に加入・増額する前に、勤務先の担当部署等での確認が必要です。
3-3 小規模企業共済
―― 役員・個人事業主だけが使える「退職金づくり+所得控除」
【中長期の資金計画を踏まえて検討する項目】
一般のサラリーマンは加入できず、小規模企業の役員・個人事業主など、事業の経営に携わる立場の人だけが対象となる制度です。
加入できるかどうかは、業種ごとの従業員数や会社規模などの要件によって判定されるため、詳細は中小機構の基準に沿った確認が必要です。
概要
- 事業主・役員自身のための退職金準備
- 掛金全額が所得控除の対象
掛金・税負担軽減のイメージ
- 掛金:月1,000〜70,000円(500円刻み)
- 掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象
- 例:月3万円(年36万円)、所得税10%・住民税10%の場合
→ 年間約7.2万円分の税負担軽減(36万円×20%)という計算になります。
受取時の取扱い
- 一括受取:退職所得
- 分割受取:公的年金等の雑所得
受け取り方や加入期間により税務上の扱いが変わるため、
具体的なシミュレーションは個別の状況に応じた検討が必要です。
役員が検討するときの視点
- 「会社の退職金(退職金規程・法人での積立)」と
「個人としてのiDeCo・小規模企業共済」
をどう組み合わせるかで、老後資金と税負担のバランスが変わります。 - 途中解約では元本割れとなる場合があるため、
長期運用を前提とした余裕資金から掛金を設定することが前提になります。
- まとめ:年末は「今年分」と「来年の方針」を整理するタイミング
本記事では、会社役員・サラリーマンでも押さえておきたい制度として、
- ふるさと納税
- 医療費控除
- 生命保険料控除
- 扶養控除・配偶者控除
- 国民年金の前納
- 新NISA
- iDeCo
- 小規模企業共済(役員・個人事業主向け)
を概観しました。
12月は、
- 「今年分としてまだ対応できるもの」
(ふるさと納税・医療費・年末調整関係書類の確認など) - 「来年以降の方針を決めておくもの」
(NISA・iDeCo・小規模企業共済、今後の働き方や社会保険の設計など)
を整理するのに適したタイミングです。
今年1年のお金の動きを振り返りながら、
どの制度をどこまで活用しているか、来年はどこを見直すかを確認する際の参考としてご活用いただければと思います。
なお、ここで取り上げた制度の適用可否や最適な組み合わせは、
収入状況・家族構成・勤務先の制度・将来の予定などによって変わります。
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