役員報酬・役員賞与の決定

株主総会議事録

新たに顧問先になった会社で過去の株主総会議事録の有無の確認をすると無い場合がありますが,税務調査で確認されることもありますので、きちんと用意しておきたいところです。

本来、会社は決算を取締役会・株主総会で承認されて確定となりますので、毎期株主総会を開催して、決算を報告していくことが必要です。
また、株主総会では役員の改選がある場合には決議が必要となります。取締役と監査役の任期については定款で定めています。

もし途中で役員の任期を変更している場合は定款変更の議事録が必要となりますので定款、議事録、商業登記簿謄本で役員の任期満了を確認しましょう。
以前は取締役の任期が2年で監査役の任期が4年でしたが、平成18年の会社法施行で取締役と監査役の任期を最長10年まで伸ばすことができるようになりました。

重任登記を怠った場合、100万円以下の過料の制裁がある場合がありますので重任登記を忘れないようにしましょう。

役員報酬の決定

また、株主総会においては決算報告、役員変更とともに役員報酬を決定する必要があります。
事業年度開始の日から3ヶ月以内に毎年開催される定時株主総会で役員報酬の額の改定を行います。

ここで決定した役員報酬はやむを得ない事情がある場合や経営状況が著しく悪化した場合などを除き、次の定時株主総会まで変更しない方が良いでしょう。

この毎月役員報酬が同額の給与を<定期同額給与>と言い損金算入の条件となります。

利益が予想以上に出たため期中で役員報酬を増額したりするとその増額分が損金不算入となり税金の対象となってしまいます。

例えば、3月決算の会社が5月に株主総会を開催し役員報酬を50万円/月と決定したけれども利益がだいぶ出そうなので、

10月~3月までの役員報酬を80万円に増額したらどうなるでしょうか? この場合は、(80万円-50万円)×6ヶ月=180万円が損金不算入となってしまいます。

つまり、会計上180万円は経費となりますが、税金を計算するときにはこの180万円は経費にしないイメージです。

役員に対する賞与

役員に対する賞与は原則損金にすることはできません。
ただし、以下の場合は損金として認められます。

1.  事前に税務署に届出をする。 事前に役員に賞与を出すことを税務署に届出をするのです。これを事前確定届出給与と言います。

届出書の提出期限は株主総会から1ヶ月を経過する日までです。

中小企業の場合事業年度終了の日から2ヵ月以内に株主総会を開催することが多いと思いますので、

事前確定届出給与は事業年度終了の日から3ヶ月以内に提出しなければなりません。

例えば、3月決算の会社がH30年7月とH30年12月に役員賞与を出したい場合は、H30年5月の株主総会にて同時期に役員賞与を出す旨を決議し、

株主総会の1ヶ月以内のH30年6月に事前確定届出給与を税務署に届出すると、H30年7月とH30年12月に役員賞与を出し損金にすることができます。

 

2. 使用人兼務役員に対する使用分賞与

役員であっても使用人部分の性格が強い「使用人兼務役員」である場合、その使用部分に対する賞与は損金にすることができます。 ただ、誰もが使用人兼務役員になれるわけではないので注意が必要です。
使用人兼務役員とは、役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいいます。

役員であっても使用人部分の性格が強い「使用人兼務役員」である場合、その使用部分に対する賞与は損金にすることができます。
使用人兼務役員になれない人は以下の通りです。

・ 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
・ 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
・ 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
・ 取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与及び監査役並びに監事
・ 同族会社の役員のうち自社株式の所有割合によって判定した結果、一定の要件を満たす役員

 

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