役員退職金の適正金額

近年高齢化により中小企業の後継者不足による廃業が深刻な問題となっています。
後継者の育成や円滑な事業承継にもしっかりとサポートをしていかなければならないと思います。今回は役員に対して支給する退職金についてご説明いたします。

① 役員退職金の上限

役員退職金は具体的にいくらまでは損金算入できるとは規定されていません。法人税法では不相当に高額である場合にはその高額である部分については損金不算入としています。
不相当に高額であるか否かは1.「業務に従事した期間」2.「退職の事情」3.「同業類似法人の役員退職金の支給状況等」に照らして判定されます。
課税実務においては功績倍率法1年当たり平均法が判断基準として一般的に用いられています。

 

② 功績倍率法

役員退職金の適正額=最終月額報酬×勤続年数×※功績倍率

※功績倍率は明確な基準があるわけではないので同業類似法人の功績倍率の平均値を用いることが通例です。

一般的には3.0倍程度が妥当ではないかと言われていますが下記のような裁判例もありました。

平成29年10月13日の東京地裁の判例では功績倍率を6.49倍で計算していた法人に対し税務署側が同業他社平均で3.26倍とした裁判例です。裁判所の判断は3.26倍×1.5倍=4.89倍との判決となりました。

 

③ 1年当たり平均法

役員退職金の適正額=役員勤務年数×※同業類似法人の1年当たり平均額

※1年当たり平均額=役員退職金÷役員勤務年数

こちらも同業類似法人の情報が必要となるので具体的な金額は算出できません。

 

④ まとめ

結論としては納税者が税務署の認定する役員退職金の適正額を事前に把握することは困難です。そのような中で役員の職務内容や貢献の度合いに着目した適正な役員退職金の支給をすることが重要ではないかと思います。

 

会社設立や法人化のご相談・ご依頼は、横浜市神奈川区の税理士ウィズグロース会計事務所にお任せ下さい!横浜市以外からも多数ご依頼をいただいております。相談料は無料で対応しています。横浜で税理士をお探しの場合は是非お問合せ下さい。