外注費と給与は何が違う?判断基準と税務上の注意点

 

給与と外注費の違いとは?判断のポイントと税務上の影響を解説

こんにちは。横浜市神奈川区のウィズグロース会計事務所です。いつもブログをお読みいただき、ありがとうございます。

当事務所では、毎月の打合せでの財務報告に加え、顧問先様の資金繰り改善・黒字化・設備投資・融資活用・DX化につながる情報を提供しています。

先日、顧問先様との打ち合わせで、このようなご質問をいただきました。

「人に仕事をお願いして報酬を支払う場合、給与として支払う場合と外注費として支払う場合がありますが、この2つは何が違うのでしょうか?」

給与と外注費は、どちらも「仕事をしてもらい、その対価を支払う」という点では似ています。しかし、消費税や源泉所得税など、税務上の取扱いには大きな違いがあります。

また、「業務委託契約を結んでいるから外注費」「請求書を発行してもらっているから外注費」と、契約書や請求書だけで判断できるものでもありません。

実際にどのような働き方をしているのか、誰が仕事の進め方を決めているのか、どのように報酬が計算されているのかなど、業務の実態を総合的に見て判断する必要があります。

今回は、主に個人へ仕事を依頼する場合について、給与と外注費を判断するポイントと、外注費として処理していた支払いが給与と認定された場合の税務上の影響を解説します。

給与と外注費の基本的な違い

給与は、雇用契約やそれに類する関係に基づき、会社の指揮命令に従って提供した労務の対価です。

一方、外注費は、独立した事業者に業務を委託し、その業務に対して支払う対価です。外注先が自ら仕事の進め方を決め、費用や事業上のリスクを負担していることなどが、判断のポイントになります。

大切なのは、支払いの名称ではなく、会社と仕事をする人との関係や、実際の業務の進め方です。

国税庁の消費税基本通達でも、給与と請負による報酬の区分が明らかでない場合は、他の人が代わりに仕事をできるか、指揮監督を受けるか、報酬を請求できる条件、材料や用具の負担などを総合的に考慮するとされています。

【参照】国税庁「消費税基本通達1-1-1 個人事業者と給与所得者の区分」

給与と判断される方向に働く要素

① 仕事の進め方について会社から指示・管理を受けている

業務の進め方や作業手順について会社から具体的な指示を受け、その指示に従って働いている場合には、給与と判断される方向に働きます。

例えば、会社の担当者が日々の作業内容や順番を決め、作業方法まで細かく管理しているようなケースです。

ただし、業務委託でも、発注者が成果物の仕様や納期を指定することはあります。

こうした注文と、日々の働き方や作業方法に対する指揮監督とは区別して考える必要があります。

② 出勤時間や勤務時間が決められている

会社から出勤・退勤時間を指定されていたり、勤務時間を厳密に管理されていたりする場合には、給与と判断される方向に働きます。

例えば、毎日9時から17時まで勤務し、会社のタイムカードで出退勤を管理されているようなケースです。

ただし、施設の利用時間や他の作業との調整など、業務の性質上、作業時間が指定される場合もあります。

時間が決められている理由や、実際の管理状況も含めて確認することが大切です。

③ 働いた時間や日数に応じて報酬が支払われている

「1時間〇円」「1日〇円」など、仕事の完成や成果ではなく、

働いた時間や日数を基準として報酬が支払われていることは、給与か外注費かを判断する材料になります。

形式上は成果報酬でも、実際には働いた日数を基準に精算している場合などは、実態を確認する必要があります。

ただし、時間単価や日額で報酬を計算する業務委託もあるため、報酬の計算方法だけで給与と決まるわけではありません。

反対に、出来高払いや成果に応じた支払いであっても、実態によっては給与に該当します。

④ 会社の組織の一員として働いている

形式上は外注でも、実際には従業員とほとんど同じように会社の組織に組み込まれている場合には

給与と判断される方向に働きます。

例えば、次のような事情が判断材料になります。

  • 従業員と同じ就業ルールが適用されている
  • 朝礼や社内会議への参加が義務付けられている
  • 遅刻・欠勤について会社への届出が必要とされている
  • 従業員と同様の勤怠管理を受けている

また、特定の会社に専属することが義務付けられている場合も、他の事情と併せて判断材料になります。

⑤ 仕事に必要な設備や道具を会社が用意している

仕事に必要な機械、設備、車両などを会社側が用意し

本人が主として自分の労働力を提供している場合も、給与か外注費かを判断する材料になります。

例えば、次のような点を確認します。

  • 車両は会社と本人のどちらが用意しているか
  • 工具や機械を誰が購入しているか
  • ガソリン代や修理代を誰が負担しているか
  • 作業着や消耗品を誰が用意しているか

ただし、会社の設備や道具を使用しているという事情だけで

直ちに給与になるわけではありません。

外注費と判断される方向に働く要素

① 案件ごとに仕事を受けるかどうかを選べる

会社から依頼されても本人の判断で断ることができ

案件ごとにスケジュールや採算を考えて、受注の可否を決められる場合です。

ただし、いったん受けた仕事について、契約に従って業務を行う義務があることは

依頼を受けるかどうかの自由とは別の問題です。

② 自分以外の人に仕事を任せることができる

契約上も実際の運用上も、本人以外の従業員や補助者などに仕事を任せることができ

その費用も本人が負担している場合です。

ただし、専門性や資格、情報管理などの理由で本人による業務が求められることもあります。

他の人に任せられないという事情だけで、給与と決まるわけではありません。

③ 自分で設備・車両などを用意し、費用を負担している

業務に必要な機械、設備、車両などを本人が自ら用意し、その購入費や維持費も負担している場合です。

会社から道具を借りているかどうかだけでなく、業務に必要な費用を実際に誰が負担しているかも確認します。

④ 仕事上の損失やリスクを自分で負担している

本人の責任による仕事の不備について、やり直しの費用を本人が負担するなど、業務に伴う損失やリスクを自ら負っている場合です。

仕事が予定どおり完了しなかった場合に、報酬を請求できるかどうかも判断材料になります。

ただし、業務委託には、仕事の完成を約束するものだけでなく、一定の業務を行うことを内容とするものもあります。

成果物の有無や契約の種類だけで判断せず、報酬の条件や責任の範囲などを確認する必要があります。

一つの条件だけで給与・外注費が決まるわけではない

ここまで挙げた要素は、給与か外注費かを判断するための材料です。

「勤務時間が決まっているから必ず給与」「自分の車を使っているから必ず外注費」と、単純に判断できるものではありません。

会社からの指揮監督、勤務時間、報酬の計算方法、仕事を断る自由、他の人に任せられるかどうか

設備や費用の負担、事業上のリスクなどを、実際の働き方に沿って総合的に検討します。

契約書に「業務委託」と書かれていても、実際には従業員と同じように働いている場合には、給与と判断される可能性があります。

契約内容と実際の運用が一致しているかを確認しておくことが重要です。

【参考】税務大学校論叢「源泉所得税における給与等の課税の取扱い」

※上記論文は判断要素を整理するための参考資料です。税大論叢の掲載論文は執筆者の個人的見解であり、国税庁等の公式見解を示すものではありません。

外注費を給与と認定された場合、何が起こる?

外注費として処理していた支払いが税務調査などで給与と認定された場合、会社側に追加の納税が生じる可能性があります。

特に注意したいのが、消費税と源泉所得税です。

① 消費税の仕入税額控除が認められなくなる

外注費は、原則として消費税の課税仕入れに該当します。一方、給与の支払いは課税仕入れに該当しません。

そのため、一般課税で外注費として仕入税額控除を行っていた支払いが給与と認定されると、

その支払いについて行っていた仕入税額控除が認められず、消費税の追加納付が発生する可能性があります。

例えば、外注費として本体価格100万円と消費税・地方消費税10万円の合計110万円を支払い

一般課税でその10万円の全額を適法に仕入税額控除していたとします。

この支払いが給与と認定された場合、その10万円の控除が認められなくなります。

なお、外注費であっても、仕入税額控除にはインボイス等の保存を含めた要件の確認が必要です。

また、簡易課税では、実際の外注費に係る消費税額ではなく、売上げに係る消費税額とみなし仕入率を基に控除額を計算します。

そのため、給与認定によって、上記の例と同じように納税額が増えるとは限りません。

実際の追加納税額は、適用している課税方式や控除の状況などによって異なります。

【参照】国税庁「仕入税額控除の対象となるもの」、「簡易課税制度」

② 源泉所得税を追加で納付する可能性がある

給与を支払う場合、会社は原則として、給与から所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、国に納付する必要があります。

外注費として処理していた支払いが後から給与と認定された場合には、

会社側に給与としての源泉徴収・納付義務があったことになります。

その結果、本来納付すべきだった源泉所得税について、追加納付を求められる可能性があります。

また、状況によっては、不納付加算税や延滞税が発生することもあります。

*なお、外注費であれば源泉徴収が不要というわけではありません。

個人に支払う原稿料、講演料、税理士報酬など、一定の報酬・料金については

外注費として処理する場合でも源泉徴収が必要です。

給与か外注費かの区分と併せて、その支払いが源泉徴収の対象になるかどうかも確認しましょう。

【参照】国税庁「事業主がしなければならない源泉徴収」、「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

まとめ

外注費と給与を判断する際には、契約書や請求書などの形式だけでなく、実際の働き方や業務の進め方が重要です。

会社からの指揮監督、報酬の計算方法、仕事を断る自由

設備や費用の負担、事業上のリスクなどを総合的に確認する必要があります。

外注費として処理していた支払いが給与と認定されると、消費税の仕入税額控除の否認や

源泉所得税の追加納付につながる可能性があります。また、外注費であっても源泉徴収が必要な報酬があります。

個人に継続して仕事を依頼する場合や、従業員に近い働き方をしてもらう場合には、

契約を結ぶ段階から、契約内容と実際の運用、税務上の取扱いを確認しておきましょう。

給与と外注費の区分に迷われた際は、ウィズグロース会計事務所へお気軽にご相談ください。